「自然館」は平成2年に開設した泉区の直売所です。年間約60品目の野菜を栽培しています。美濃口 輝尚(みのぐち てるなお)さんは、自分が食べたいものを作りたいという思いから、イチゴの栽培を始めました。
ー1月、2月頃に収穫できる野菜で、オススメの食べ方を教えてください。
次に聖護院大根(しょうごいんだいこん)。野菜売り場で目にする機会も多くなっていると思います。しかし、食べたことが無い人はなかなか手に取りにくい大根かもしれませんね。聖護院大根は食感がとてもやわらかく、煮て食べるのがオススメです。すぐ火が通ります。辛みが無くやわらかくて、とてもおいしいです。聖護院大根の煮物を食べると、青首大根に戻れなくなるかもしれません(笑)。聖護院大根は生で食べてもおいしいんです。薄くスライスして、酢、砂糖、塩で浅漬けにするのがオススメです。
ー「自然館」がオープンしてから25年くらいになるのですか?
美濃口 輝尚 現在の場所で父が運営を始めたのが平成2年です。父は昔から環境と農業の関係性に関心があり、有機農業やできるだけ農薬を使わない農法で野菜作りを始めました。すべての野菜を市場に出荷していましたが、市場ではなかなか値が思ったようにはつかなかったようです。有機野菜などがまだ一般的ではなかったこともあると思います。
そこで、自分で売ることができる直売所をはじめました。いまでこそ、野菜の直売所は普通にある時代になりましたが、その頃は直売所がほとんど無く、直売所の先駆け的な存在だったと思います。
その後、地域の人と交流できるスペースを直売所に併設しました。野菜を買いにきた人がくつろいだり、画家がギャラリーとして利用したり。農業研修の人も多くきていました。いろいろな人が交流するスペースとして活用されてきました。
ー野菜を買いにくるお客様はどのような人がいらっしゃいますか?
美濃口 輝尚 昔から来てくださるお客様が多くいます。それこそ開店当時からのお客様も。やはり、リピートしてくださる方が多いと思います。スーパーで野菜を買える便利さもあると思いますが、直売所に足を運んでくださる方は、味や安心・安全性を重視しているお客様が多いです。
また、年配のお客様だけではなく、ある時期から若い世代のお客様も増えました。特に小さい子どもがいらっしゃるお母さんは、遠くから買いに来てくださる方も。子どもに安心して食べさせられる野菜を探した結果、「自然館」を見つけてくれるみたいです。これは、父が安心して食べることができる野菜をということで、昔から有機栽培、減農薬での栽培を続けてきた賜物だと思います。
ーその精神は輝尚さんにもしっかりと受け継がれていますね。
父の野菜作り同様、イチゴ栽培でも農薬は極力使いません。例えば、ハダニという害虫がいるのですが、天敵のダニを使って退治するなど、病気や虫食いを防ぐ工夫をしています。また、化学肥料は使わず、有機肥料料だけで栽培することにもこだわっています。そうして育てたイチゴは甘みが強くなり、さらに優しい味になります。
ーお父さんも輝尚さんも、新たな取り組みを考えているとお聞きしました。
父の計画は、親子を対象にした収穫・料理体験ができる場所を作りたいようです。「ゆめが丘クッキング広場」と名付けているみたいです(笑)。以前にも、収穫祭や種まき体験をイベントとしてやっていました。直売所に交流スペースを併設したこともそうですが、畑、直売所周辺の環境も含めて地域の人と楽しんでいきたいという思いがあるようです。
実施を計画している場所は、すぐ背後には林というか山があって、里山のような環境が残っています。周囲のことを気にしないで子供たちものびのびと遊べる。畑で収穫した野菜をその場で料理して食べる。テントを張って手軽に楽しむキャンプみたいなこともできるかもしれません。夏はバーベキュー、秋冬は芋煮などもいいですね。これも環境と共生する農業活動の一環といえるかもしれません。どちらの計画もまだ検討段階ですが、地域の人と協力しながら実現していきたいです。
ー自然館の活動は、地域・環境と密接に結びついている感じがしますね。
美濃口 輝尚 泉区という場所は、生産者もまだ残っているエリア。生産者同士はライバルでもあるし、励ましあう関係でもある。そうやって、エリアの生産者もがんばってやってきています。ここの環境を活かしながら、地域の人とも一緒に盛り上げてやってきました。これからも新しいことを取り入れながら、地域と環境を活かせる農業を続けていきたいと思います。
自然館
自然館の野菜は、下記の直売所で購入できます。
住所/横浜市泉区下飯田町1761
電話番号/045-802-3297