丹沢の杉を使った“MADE IN 神奈川”の「わっぱ弁当箱」が人気を呼んでいます。大和市にある成島製作 木工部を訪ね、代表の成島道基さんにお話を伺いました。
ー「わっぱ弁当箱」は、どういったきっかけでつくり始めたんですか?
成島 道基 私は静岡の出で実家が茶箱をつくっていて、木工にはなじみがありました。それで、数年前にたまたま足柄上郡山北町の森林組合で杉の間伐材が余っているという話を人づてに聞いたんです。
うちは本業が別にあるんですが、いろいろな素材を削ることができる機械がそろっています。そこで、じゃあ、って思い付いたのが、弁当箱をつくることだったんです。いってみれば、趣味のようなものですね(笑)。
ー曲げわっぱは杉の板をつなぎ合わせてつくりますが、こちらの弁当箱は木材をくり抜いているんですよね。
しかも、ウレタン塗装のように木をコーティングするわけではないので、杉本来の通気性や抗菌性が失われることはありません。杉そのもの温もりある手触りも残っています。
この弁当箱は木をくり抜いてつくっているのでとにかく丈夫で、手入れさえ間違わなければ何十年と使えます。手入れといっても40度くらいのぬるま湯に数分つけて汚れが浮いてきたらスポンジでこすり落とし、洗い終わったらふきんで水分をきちんと拭き取るだけのことです。
長時間お湯や水につけておいたり、油ものを直接入れたりすると木が傷んでしまいますが、そういったことをしなければ長くお使いいただけます。
ー一般的な曲げわっぱと比べると、かなり価格がリーズナブルですよね。
ただ、最近はのんきに「趣味だから」とばかりもいっていられなくなってきているんです。食育の講師をされている方が「この弁当箱は抗菌作用があっていい」と、講演会などで薦めてくださっているんです。それと、プラスチックの弁当箱だとごはんが冷めて固くなったり、水気がたまってべちゃべちゃになったりするでしょう。
でも、この弁当箱は時間がたっても、ごはんがふっくらしている。だから、「この弁当箱を使うようになったら、子どもが残さずに食べるようになりました」なんて手紙をいただくんです。中には、「この弁当箱だと子どもが野菜を食べてくれます」なんてお客さんもいます。
この弁当箱によって、弁当そのものに親しみを持つようになるお子さんが多いみたいですね。そういった反響をたくさんいただくようになったので、気安く「趣味の延長」なんていえなくなりました(笑)。
ーインスタグラムなどSNSの反響も大きいようですね。
それが、購入されたお客さんが「うちでも販売したい」と手を挙げてくださったり、SNSで広めてくれたりして、今では毎月コンスタントに50個ほどの注文が入るようになりました。本当にありがたいことです。
ただ、皆さんが我がことのようにこの弁当箱を宣伝してくれると同時に私にも責任感が生まれてきて、少し悩んでいることがあるんです。木工って本腰を入れて取り組むとなると、とても奥の深い世界でしょう。
明確に「こうしたい」という目指すべき目標があるわけではないけれど、私の中で「今以上に良い弁当箱ができるんじゃないか」っていう欲のようなものが芽生えてきてしまったんです。でも、「もっと、もっと」なんていっても際限がないですからね。
あまり木工の世界に深入りしない方がいいのかもしれないと自戒しているんです。今でも十分、お客さんには満足していただいているわけですからね。
ともかく、ひょうたんからコマというか、ちょっとした思いつきからつくり始めた弁当箱がこんなに反響があるなんて、この上なくうれしい誤算です。自分がつくったもので皆さんが弁当を楽しんでいる様子を見聞きするたびに、何ともいえず誇らしい気分になります。
成島製作 木工部
TEL.046-269-9163
「丹沢杉のわっぱ弁当箱」
大/小判型 容量 約700ml 5,200円 (税込み・送料別)
中/小判型 容量約500ml 4,200円(税込み・送料別)
「箱根ヒノキのわっぱ弁当箱」
大/小判型 容量 約700ml 5,500円 (税込み・送料別)
中/小判型 容量約500ml 4,500円(税込み・送料別)
素材協力/神奈川県山北町森林組合 製材協力/株式会社木材工房あしがら
下記ブログから購入できます。
https://ameblo.jp/narunaru-wapa/